相続手続の流れ

相続により家(不動産)を取得した場合、名義変更のお手続(相続手続)を行う必要があります。
不動産の相続手続は、遺言の有無で少し異なりますが、こちらでは、亡くなられた方が遺言を作成していなかった場合のお手続をご案内いたします。

1.相続人の調査

相続人全員を明らかにするために、亡くなられた方の戸籍謄本、除籍謄本及び改正原戸籍(生まれてから亡くなるまで)をすべて取得します。この時、併せて亡くなられた方の住民票の除票(または戸籍の附票)も取得しましょう。
また、相続人が生存していることを確認するために相続人全員の現在の戸籍謄本(抄本)を取得します。

2.不動産の調査

法務局において、目的の不動産の登記事項証明書(登記簿謄本)を取得し、現在の名義人を確認します。
登記事項証明書(登記簿)上、お亡くなりになられた方の名義になっている不動産が相続手続の対象になります。
亡くなられた方名義の不動産があるかわからない、または不動産があるのはわかっていてもその所在がはっきりしない、などの場合、不動産の所在地を確認するために、名寄帳(固定資産課税明細書)を取得します。
これにより、不動産の正確な場所と固定資産税評価額が明らかになります。
固定資産税評価額は、名義変更に必要な税金額の算定基準にもなりますので、納税通知書が手元にない場合にも必要な作業です。

3.遺産分割協議【相続人が一人の場合を除く】

相続人全員で相続財産(遺産)の分配について話し合い、どなたが不動産(及びその他の財産)を相続するか決定します。
そして、その結果を「遺産分割協議書」という書面にします。この書面には相続人が実印(登録印)で押印し、印鑑証明書を添付しなければなりません。 なお、必ずしも全員が同じ場所に集まらなくても書面の作成は可能です。

4.住民票の取得

遺産分割協議により、実際に相続することになった相続人の住民票の写しを取得します。
なお、世帯全員分を取得する必要はなく、相続人に関わる部分だけで構いません。

5.登録免許税額の計算

納税通知書や名寄帳に記載された固定資産税評価額の1,000分の4の額が名義変更の手数料(登録免許税)となります。
登録免許税は、税額分の収入印紙を貼用台紙(任意のもので可)に貼って提出します。

登録免許税の計算例

例えば、500万円の不動産を相続で取得した場合
500万円(固定資産評価額)× 1,000分の4(税率)=2万円が納付すべき額となります。

6.登記申請書の作成

名義変更のための「登記申請書」を作成します。
なお、申請書には、新しい名義人である相続人による押印が必要ですが、実印で押印することが好ましいでしょう。

7.申請書及び必要書類の提出

作成した登記申請書とこれまでに用意した書類を合わせて、不動産の所在地を管轄する法務局(出張所)に提出します。

提出書類
  • 登記申請書
  • 亡くなられた方の住民票の除票(または戸籍の附票)
  • 亡くなられた方の戸籍謄本、除籍謄本及び改正原戸籍
  • 相続人全員の戸籍謄本(抄本)
  • 遺産分割協議書 ※相続人が一人の場合は不要
  • 相続人全員の印鑑証明書 ※相続人が一人の場合は不要
  • 不動産を相続人する方の住民票
8.交付書類の受取

法務局(出張所)の審査が無事に終わると、法務局(出張所)から書類が交付されますので、法務局窓口(または郵送)で受け取ります。
交付される書類のうち、「登記識別情報通知書」という書面は、以前までの権利証に代わるもので、所有者を特定するための重要なものです。紛失しても再発行はされませんので、大切に保管しましょう。

9.手続完了!

法務局(出張所)から書類一式を受け取った後、改めて目的不動産の登記事項証明書(登記簿)を取得しましょう。ここで、新しい名義人である相続人さまの住所氏名に間違いがなければ、名義変更の手続は完了です。

なお、上記はあくまで一般的な相続による名義変更の手続を示したもので、相続放棄をした方がいらっしゃる場合や、相続人に未成年者がいらっしゃる場合など、個々のケースによっては手続が若干異なります。ご了承ください。

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