家の名義変更のはなし~複数回に分けて不動産を取得した場合~
掲載日:2021.08.07
「不動産を複数回に分けて取得する」とは、正確に言うと、「不動産の権利を複数回に分けて取得する」ということです。
どのような場合にそのようなことが生じるのかを考えてみたいと思います。
図の花子さんを例に考えてみましょう。
夫婦で半分ずつお金を出し合って不動産を購入すると、夫太郎さん2分の1、妻花子さん2分の1の権利を取得します。
この場合、登記簿には、花子さんは売買で2分の1の権利を取得した、という旨が記録されます(①)。
その後、花子さんが太郎さんから2分の1の権利の贈与を受けると、花子さんはこの不動産の100%の権利を取得します。
この場合、登記簿には、花子さんは贈与で2分の1の権利を取得した、と記録されます(②)。
このように、複数回に分けて(理論的には何度に分けることもできる)権利を取得して、最終的に完全な所有者になる、ということは実際よく見られます。
そして、この場合に注意しなければいけないのが、権利証(登記識別情報)の取り扱いです。
勘違いしてしまう方も多いのですが、②で権利を取得した際に完全な所有者となったわけですが、権利証(登記識別情報)は①の2分の1と、②の2分の1、それぞれ独立していますので、花子さんが将来誰かに不動産を売却するような場合は、①と②両方の権利証(登記識別情報)が必要です。
権利証(登記識別情報)は再発行できませんので、間違って古い方を破棄してしまわないように気を付けましょう。
では、また次回お楽しみに!
司法書士 たつみ