相続のはなし~検認を受けた遺言が使えない?~
掲載日:2020.08.22
遺言を自筆で作成した場合、相続発生後に家庭裁判所の「検認」を受ける必要があります。
※遺言書保管制度(詳しくはこちら)を利用した場合を除く。
しかし、実は、検認は遺言書の存在を確認するためのもので、遺言書の有効無効を判断するものではありません。
つまり、家庭裁判所の検認を受けているにも関わらず、その遺言書が無効(または使えない)ということがあるのです。
わかりやすい例が、自筆遺言の要件である①自書、②日付の記載、③氏名の記載、④捺印、のいずれかを満たない場合ですが、この場合は遺言が無効になってしまいます。
また、上記4つの要件は満たしている場合でも、記載内容によっては遺言が相続手続で使えないこともあります。
現金や一部の動産を除き、相続財産は預貯金の払い戻しなどの手続を行うことになりますが、その際、遺言を提出された各機関がそれぞれ遺言の有効無効を判断することになるのです。
その結果、「A銀行では払い戻しができたがB銀行ではダメだった」ということも起こります。
何だかすっきりしないかもしれませんが、自筆の遺言で相続手続ができるかどうかは、結局のところ各機関に提出してみないとわからないということになります。
自筆で遺言を作成される方はくれぐれもご注意いただき、心配であれば作成前に専門家のアドバイスを受けるなどされるとよろしいかと思います。
では、また次回お楽しみに!
司法書士 たつみ