成年後見のはなし~任意代理契約?~

掲載日:2018.04.12


成年後見制度のうち、今はお元気な方が、将来に備えて任意後見人を決めておく方法を「任意後見」と言いますが、この任意後見は、ご本人と将来任意後見人になる方との契約(任意後見契約)によって成り立っている点が特徴です。

ただし、任意後見は、(公正証書による)契約書を作成した段階では「将来判断能力が低下したときには任意後見人に手伝ってもらう」という予約をしたにずぎません。
つまり、契約をした段階では、将来任意後見人になる方は何もお手伝いできませんし、する立場にもありません。
しかし、任意後見の利用を考えるということは、現時点においても日々の生活に不安を感じていることが多いのではないかと思います。
そのような場合に、将来の任意後見人に何か手伝ってもらいたい、という希望を叶えるための方法が「任意代理契約」です。

任意代理契約は、一種の委任契約で、日々の生活において手伝ってもらいたいことを将来の任意代理人に委任するという方法です。
例えば、銀行等の窓口で払戻手続を行ったり、役所の窓口で各種証明書を取得したり、ということを委任することが多いでしょうか。
ただ、銀行等金融機関の手続は、ご本人確認が厳格になっていますので、通常の委任契約ではなかなかスムーズに対応してもらえない可能性があります。
そのため、任意後見契約とともに、任意代理契約も公正証書で作成することが好ましいでしょう。

任意後見契約は、その他に、「見守り契約」や「死後事務委任契約」なども同時に締結することが多いのですが、その点についてはまた別の機会に触れたいと思います。

では、また次回お楽しみに!

司法書士 たつみ