遺言のはなし~遺言執行者を定めないとどうなる?~
掲載日:2018.02.06
遺言を作成する際、遺言の内容を実現するために、「遺言執行者」を定めることができます。
ただ、もちろん、遺言執行者を定めずに遺言を作成することもできます。
遺言執行者は、相続人の代理人として遺言の内容を実現するための権限がありますので、遺言執行者がいない場合、誰が手続を行うのか、という問題が生じます。
実はこの場合、原則として、相続人全員が手続に協力する必要があるのですが、こうなると、遺言執行者がいる場合とは手続の煩雑さが異なります。
例えば、遺言で、不動産をAさんに遺贈(贈与)した場合、遺言執行者がいれば遺言執行者とAさんだけで名義変更(登記手続)が行えるのですが、遺言執行者がいない場合は、相続人全員に手続に協力してもらう必要があります。
全員の協力が必要なので、一人でも遺言の内容に不満がある方がいると、手続がスムーズに行えないことになってしまいますね。
また、遺言で決めることができる法律行為の中には、遺言執行者が行うことを前提とした行為(民法第893条の相続人の廃除など)もありますので、遺言の内容によっては、相続人が行えない手続もあります。
なお、遺言で遺言執行者が定められていない場合でも、相続人などが家庭裁判所に申し立てることで、新たに遺言執行者を選任してもらうことができますので、相続手続に困るような場合は利用するとよいでしょう。
では、また次回お楽しみに!
司法書士 たつみ
受取人相続人全員が遺言を