遺言のはなし~エンディングノートとの違い?~

掲載日:2017.10.13


遺言とエンディングノートの違いをご存知でしょうか。

近年急速に広がったエンディングノートですが、遺言とは何が違うのでしょう。
まず、決定的な違いは、「法的効力の有無」です。
遺言は、そこに記載されたもの(民法で定められたものに限る)には、法的効力があります。
一方で、エンディングノートには、法的な根拠がないので、極端な話、その内容は個人のメモと変わりません。

また、遺言は、作成方法も法律で定められていて、作成が必ずしも簡単ではなく、公正証書の場合は作成費用も掛かります。
他方、エンディングノートの形式は特に決まっていないので、費用も掛からず作成が容易、という違いもあります。

そして、エンディングノートは、法的な効力がない代わりに、思ったことを自由に記載することができる、という特徴があります。
遺言も、法的効力がないこと(付言事項)を記載することができますが、遺言で決めた内容を撤回するためには、遺言の方式に従ってしなければならない、というルールがあるので、撤回が容易ではなく、考えがしっかりまとまっていないことや、書き直すことを前提としている場合には向いていないでしょう。
エンディングノートは、撤回するのも書き直すのも自由なので、思い付きのようなことでも、正にメモのように残しておくことができます。

遺言とエンディングノートの効果の違いを考えてみると、法的効力を発生させたいものや慎重を要する内容は遺言に、それ以外の部分はエンディングノートに記録する、という分け方が最も無駄がない作成の仕方かもしれませんね。
ただ、上記はあくまで使い分けの一つの例ですので、それぞれの事情によって、作成するかどうか、ということを検討していただければよいでしょう。

では、また次回お楽しみに!

司法書士 たつみ