家の名義変更のはなし~空き家問題と登記~

掲載日:2017.09.05

近年、いわゆる空き家問題というものが社会的問題になっています。

空き家問題とは、長期間建物の管理がされなくなることから生じる様々な問題のことで、老朽化した建物が倒壊する危険性や、火災の危険性などが指摘されています。
このような状況を何とかしようと、空き家の調査及び情報をデータベース化するなど、行政を中心に対策に取り組んでいるわけです。

その中でも、ただ管理されないだけではなく、「所有者不明」となった空き家はより深刻です。
本来、不動産の所有者は登記に記録されますので、その記録を確認すれば所有者にたどり着くはずです。
それでも所有者が不明になってしまうことの主な要因として、「相続人がいない」または「相続手続(家の名義変更)がされていないこと」が挙げられます。
所有者に相続があっても、相続人がいなければ当事者と連絡が取れません。また、相続人がいても、相続手続がされていなければ登記記録から相続人を見つけることができず、結局所有者不明になってしまうのです。
仮に、行政などで空き家の管理状況の改善をお願いするとしても、所有者不明ですと「誰に管理を頼めばよいのか」ということになり、問題の解決がさらに困難になります。
しかし、少子高齢化の影響で、今後も上記と同様のケースは増加することが予測されています。

現在、空き家対策として様々な政策が議論されていますが、現時点では特効薬となるようなものはありません。
登記手続が主な業務である司法書士にとっても非常に関わりが深い問題なので、今後の動向に注目していきたいと思います。

では、また次回お楽しみに!

司法書士 たつみ