相続のはなし~家督相続?【戸籍の読み方】~
掲載日:2017.06.21
前回「分家」について触れましたが、過去の戸籍を調べていると、「家督相続」という記載がされていることがございます。
こちらも、分家と同じようにあまり知られていないのではないかと思います。
家督相続とは、戸主の死亡などにより、新たな戸主が従前の戸主の地位を引き継ぐことを言います。
分家と同じように、新たな戸籍の作成原因となりますが、分家と異なるのは、戸主の死亡など、以前の戸主の地位喪失を原因としている点です。
ただ、このしくみは、旧民法時代の話なので、現在の戸籍を見てもこの記録がされていることはないでしょう。
それでも、被相続人の出生時までの戸籍を遡っていると、古い戸籍の中で、この記述と出会うことがあるのではないかと思います。
家督相続は、戸主の交代であり、これにより、新たな方を戸主とする戸籍が作成されていました。
※現在では、戸主の方が亡くなっても、戸主の死亡の記載がされるだけで、戸主が交代する、ということはありません。
ここで気を付けていただきたいのが、戸籍を請求する際、原則として「本籍地」と「戸主」でその戸籍を特定するので、戸主の方が異なる場合、目的の戸籍が発行されないことがある、ということです。
例えば、太郎さんの出生から現在までの戸籍を集めている場合に、「戸主・太郎」という戸籍を請求すると、家督相続前(前戸主・源太郎)の戸籍が発行されない、というような状況が考えられます。本籍地が同じでも、戸主の方が異なるとそれは別の戸籍であるという扱いなので、このようなことが起こります。
このようなことを防ぐためには、戸籍を請求する際、「どのような目的」で「誰の戸籍を必要としているのか」を市区町村の窓口にしっかり伝わるようにすることが重要です。
また、死亡による家督相続は、遺産(財産)相続とも密接につながっており、家督相続する方が、被相続人の全財産を相続する、とされていました。
ただ、今回は戸籍の記録に注目して記述しておりますので、詳しくは別の機会に。
今回は「家督相続」について書いてみました。戸籍を遡る際などの参考にしていただければ幸いです。
では、また次回お楽しみに!
司法書士 たつみ