成年後見のはなし~費用の立替?~
掲載日:2017.04.17
ご本人さんのお金が足りず、後見人がお金を立て替えなければならない、という状況になったことはないでしょうか。
例えば、ご本人に現金の用意がない時に、病院で診察受けることになった(診察代・薬代)、など。
この場合に、「じゃあ代わりに支払いをしておこう」というのは、親子間(親族間)であればごく自然なことのように思われるかもしれませんが、実は、これは原則として認められません。
ご本人のために立替払いをすると、法的には、後見人とご本人が債権者・債務者という対立関係になってしまうため、禁止されている利益相反行為(民法第860条・民法第826条)に該当する可能性があるのです。
では、どうするのかというと、対立関係が生じる行為については、後見人の代わりに「特別代理人」という方を選任してもらう必要があります。なお、特別代理人の選任には家庭裁判所への申立が必要です。
ただ、立て替える金額が少額で、すぐに清算する、というような場合まですべて特別代理人が必要なのか、ということについては、少し疑問があります。
それでも、利益相反行為に該当する恐れのあることはなるべく避けるべきですし、立替がやむを得ない状況でも、できる限り慎重に判断すべきでしょう。
なお、利益相反にあたるかどうか不安に思った場合は、事前に家庭裁判所に相談するとよいでしょう。
では、また次回お楽しみに!
司法書士 たつみ
※本記事は、法定後見のうち成年後見について記載したものですが、保佐・補助も同じように考えることができます。