成年後見のはなし~任意後見のしくみ【前編】~
掲載日:2017.03.08
成年後見制度は、大きく分けて「法定後見」と「任意後見」という2つのしくみがあるのですが、今回はそのうちの「任意後見」について説明してみたいと思います。
任意後見は、今は元気な方が、将来認知症などにより判断能力が低下した時に備えるためのものです。
つまり、現時点で判断能力が低下している方は利用できません。すぐに支援が必要な場合は、法定後見の利用を検討することになります。
「任意後見」は、将来任意後見人になってくれる方との「契約」を基にしているところが特徴です。
契約なので、「代理してもらう内容」また「代理に対する報酬」を当事者間で話し合って決める、ということです。
最初から家庭裁判所が関与する法定後見とは異なり、当事者間の契約なので、自由度が高い反面、契約の内容が妥当かどうかはご自身で判断しなければならないので、慎重になる必要があるでしょう。
ただし、この契約(任意後見契約)は、必ず公正証書で作成しなければなりませんので、当事者だけで勝手に作ってよいわけではありません。
そして、最も気を付けていただきたいのが、任意後見は、契約を交わしただけでは意味がない、ということです。
どういうことかと言うと、任意後見契約は、将来認知症などになった場合に任意後見人として支援してもらう、という契約なので、ご本人が元気なうちは、契約の効果が発生していないのです。
任意後見利用の「予約状態」と考えていただければよいかと思います。
では、どのような場合に契約の効果が発生する(任意後見が開始する)のかということですが、少し長くなりそうなので、今回はここまでにしたいと思います。申し訳ありません!
次回、【後編】に続きますので、ぜひそちらもご覧ください!
司法書士 たつみ