マニアック法律知識~無効?取消?~
掲載日:2017.02.20
いずれも、日常で使う言葉とほぼ同じ意味なのですが、法律上は度々両者の違いが問題になります。
「無効」は、法律上絶対的に効力が生じないもので、無効とされる法律行為(契約など)は、そもそも最初からなかったものとなります。
例:公序良俗違反(民法第90条)
一方「取消」は、取消権を有している人が権利を行使する(取り消す)までは、一応有効な法律行為として扱われます。
ただ、取り消された場合は、最初にさかのぼって効力を失うものとされています。
例:詐欺・強迫による意思表示(民法第96条)
無効である法律行為は、不利益を受けた側が特に何もしなくても、その効力を否定することができますが、取消の場合は、一応は有効な法律行為なので、不利益を受けた人は、自ら「取り消す」という意思表示が必要です。黙っているだけではいけないのですね。また取消権には、「いつまでに取り消さなければならない」という期間制限がある場合もありますので、注意が必要です。
無効と取消は、効果が似ていますが、実際には上記のような違いがあります。
法律行為の効力が問題になった際は、それが無効なのか取り消すことができるものなのか、しっかり確認することをお勧めいたします。
では、また次回お楽しみに!
司法書士 たつみ