成年後見のはなし~生活保護の受給申請~
掲載日:2016.08.30
昨日の相談会で、被後見人の生活保護の受給についてご質問いただいたので、少し触れてみたいと思います。
日本には、経済的に余裕がなく、生活に困窮している方のために、生活保護の制度があります。
これは、成年後見制度を利用している方の場合も同じです。
成年後見制度は、生活に余裕のある方だけのための制度ではないので、当然、経済的に厳しい状況の方もいらっしゃいます。
ただし、ご本人(被後見人)は判断能力が不十分で、自らは生活保護の受給申請が行えないことも珍しくないでしょう。
そこで、後見人が、ご本人(被後見人)のために生活保護の受給申請を行うことができるのか、という疑問があります。
実は、生活保護法では、申請ができる人を、「要保護者(本人)、その扶養義務者又はその他の同居の親族」に限定しているため、条文上は後見人が入っていません。
しかし、ご本人(被後見人)に身寄りがない場合など、後見人以外に手続を執ることができないという状況も十分に考えられます。
また、家庭裁判所の後見制度についての案内には、生活保護の受給申請を行うことが後見人の職務として記載されており、後見人が生活保護の受給申請を行うことを想定しています。
いずれにしても、後見人は、必要であればご本人(被後見人)のために生活保護の受給申請を行うべきでしょう。
そして、その場合、後見人からの申請だからという理由だけで申請が拒否されることはないのではないでしょうか。
行政側は、職権でも生活保護を開始することができるので、「誰からの申請か」ではなく、「生活保護が必要かどうか」ということを重視するものと思われます。
では、また次回お楽しみに!
司法書士 たつみ