マニアック法律知識~時効の中断【後編】~
掲載日:2016.07.05
時効の中断にはいくつか要件があるのですが、その中でも特に気を付けたいのが「承認」です。
これは、「自分は債務を負っています」と相手方に認めることです。
承認は、直接債務を認めることだけでなく、債務の存在を認めるような行為も含まれます。
例えば、債務の一部だけを返済する、ということがそうです。これにより、残りの債務の時効も中断してしまいます。
貸金業者等はこのことをわかっていて、「払えるだけで構わないので払ってください」という請求をすることもあるようですので、注意が必要ですね。
債務の一部でも支払うと、債務全体の時効が中断し、せっかく経過していた時効の期間がリセットされますし、また、時効で消滅したあとの債務であっても支払い義務が生じます。
お金を借りていた相手から「いくらでもいいから」と言われて支払うと、本来は支払わずに済んだはずの債務の支払い義務が生じるなんて、正直者が馬鹿を見る、とはこのことですね。
やはり、何事も慎重な判断が必要です。
では、また次回お楽しみに!
司法書士 たつみ