家の名義変更のはなし~抵当権が付いていると融資が受けられない?~
掲載日:2020.01.26
家の名義変更(不動産登記)手続において、度々問題になる(根)抵当権ですが、今回は銀行などの金融機関との関係に触れてみたいと思います。
現在の日本では、不動産を担保にして融資を受ける、という方法が広く利用されています。居住用の不動産を購入する際の住宅ローンが代表的ですね。
不動産を担保に提供すると、不動産の記録(登記記録)には、「(根)抵当権」の記録がされます。これにより、どれくらいの借り入れの担保になっているか(金融機関が不動産からどれくらいの弁済をしてもらえるか)が明らかになります。
実は、一度不動産を担保とする(根)抵当権の記録がされても、次の(根)抵当権を付けること(複数回担保に提供すること)は可能です。
理屈上は、複数回融資を受け、その度不動産を担保に提供する、ということができるわけです。ただし、これはあまり現実的ではありません。
まず、不動産価格が2,000万円だとすると、最初の融資が1,000万円であった場合、不動産の価格としてはもう1,000万円の価値が残っていると言えます。とすると、もう一度不動産を担保にして1,000万円借りることができる、と考えられますよね。
しかし、不動産の価格は常に変動しますし、予定通りの価格で売却がされるかは定かではありません。そうすると、金融機関は、「どうにか最初の担保にしたい」と思うわけです。
そのため、すでに(根)抵当権が付いている状態で不動産を担保に提供し、重ねて融資を受けることについては、かなりハードルが上がると考えた方がよいでしょう。
もちろん、全く無理というわけではありませんので、そこは金融機関との相談ということになるかと思います。
債務が完済されているにも関わらず(根)抵当権をそのままにしておくと、次に融資を受ける際に上記のような問題になりますので、早期に抹消の手続をすることをお勧めいたします。
では、また次回お楽しみに!
司法書士たつみ