相続のはなし~遺産分割を禁止する?~
掲載日:2018.04.04
今回は、相続発生後、すぐに遺産分割されることを望まない場合に「遺産分割を禁止する」ということができるのか、という問題です。
これは例えば、妻がご自宅で生活している場合に、自宅を遺産分割されては困る、というケースなどが考えられます。
実は、このような場合、遺言に記載することで、相続発生日から5年以内の期間であれば、遺産分割を禁止することができます。
もちろん、自宅を妻に相続させる、という遺言を作成することもできますが、これでは、妻の相続分を変更することになりますので、他の相続人との間で不公平になる可能性があります。
遺産分割の禁止は、あくまで一定期間遺産分割を行うことができないだけで、その期間経過後は相続人が自由に話し合いによって相続財産の取得分を決めることができる、という点が特徴です。
その他、相続人が遺産分割協議において、遺産分割を禁止する、ということもできます。
こちらも、期間は相続発生後5年以内となっています。
すぐに取得者が決められなかったり、すぐに分割するのに適さないものがある場合などは、遺産分割の禁止というのも一つの選択肢になるかもしれませんね。
ただ、遺産分割の禁止は、問題を先送りしているという面があることや、相続財産についてはなるべく早く決めておきたい、という相続人の要望が強いことなどから、実務上それほど多く利用されてはいないようです。
では、また次回お楽しみに!
司法書士 たつみ