相続のはなし~相続放棄の合意~

掲載日:2017.12.26


さて、相続人皆さまで相続財産についての話し合い(遺産分割協議)をする際、「ある相続人に相続放棄をしてもらう」という話がまとまったとします。
例えば、「あなたは生前に財産をもらっているのだから相続放棄しなさい」「わかりました、相続を放棄します」というような約束があった場合ですね。
そして、これを書面(遺産分割協議書)にして、全員の実印も押印したとしましょう。
相続人同士の話し合いの中で、全員納得の上、相続を放棄する、という約束をしたのであれば、有効に相続放棄ができたように思います。
しかし、これは要注意!
実は、相続放棄をするためには、家庭裁判所に申立をしなければならないと決められているため、当事者(相続人)間で勝手に相続放棄の約束をしても、法的には認められません。
ですので、遺産分割協議の中で「相続放棄」という文言を入れたから相続放棄が完了した、とは思わないように気を付けましょう。
なお、遺産分割協議では、ある相続人の配分を0にする、ということも可能ですので、相続放棄をせずとも、相続財産の配分で相続人間の平等を図る、ということもできるのではないでしょうか。
また、本当に相続放棄をするのであれば、当該相続人が、「相続があったことを知ってから3カ月以内に」家庭裁判所に申立をするようにしましょう。

では、また次回お楽しみに!

司法書士 たつみ