マニアック法律知識~手付とは?~

掲載日:2017.11.27


「手付」という言葉、一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。
しかし、具体的にどういったものかご存知ではない方も多いのではないでしょうか。今回は、この「手付」について少し解説してみたいと思います。

手付は、売買契約を行う際、買主から売主に対して、事前に一定の金額(手付金)を支払うものです。
手付金を支払っている場合、買主は、手付金を放棄して、売主は、手付金の倍額を支払って、その売買契約を解除することができます。
このように、手付は、手付金(もしくはその倍額)の支払によって、契約を解除することができる、という契約の解除特約と見ることができます(ただし、当事者の合意により性質を変えることもできます)。
なお、手付による解除は、相手が契約の履行に着手(支払いのためのお金を用意するなど)する前に限りますので、注意しましょう。
※民法第557条参照

日常の売買では、手付の話をすると驚かれるかもしれませんが、実は、不動産の売買契約などでは、今でも一般的に利用されています。
これは、重要な契約において、お互いに「契約を履行しますよ」ということを担保するために行っているもので、手付があることで、予定通り契約が履行されるだろう、という期待ができます。
ちなみに、手付金は、売買代金とは別物なので、原則としては、後日売主から買主に返還することになりますが、返還の手間を省くために、「手付金は売買代金に充当する」という特約をするケースが多いようです。
また、手付金の額については、目的価格の何パーセントという決まりはありませんので、あくまで当事者の合意により定めることになります。

今後、手付金が必要とされる契約を行うことがあるかもしれませんので、上記のことを覚えておいていただけるとよいのではないでしょうか。

では、また次回お楽しみに!

司法書士 たつみ