成年後見のはなし~途中で利用を止められない?~

掲載日:2017.10.25


成年後見制度を利用した場合、どれくらいの期間続くのか、という疑問を頂戴することがあります。
しかし、実は、成年後見制度に利用期間というものは定められていないので、原則として、ご本人がお亡くなりになるまで継続します。

例えば、定期預金の解約が終わったから利用を止めたい、ですとか、不動産の売却が終わったから利用を止めたい、というお話も伺うのですが、これは認められていません。
なぜなら、成年後見制度は、判断能力が不十分な方に対し、財産等の各種権利を守るために後見人等を就けるものなので、ご本人の判断能力が回復しない限りは、制度の利用の必要性は変わっていない、と考えられるからです。
逆に言えば、ご本人の判断能力が完全に回復すれば、成年後見制度の利用は止めることができる、ということになりますが、後見相当の認知症の方が完全に回復する、というのは、なかなか想像し難いことではあります。

日常的な生活は困ってないのに、一度の手続のために制度を継続的に利用しなければならないなど不便だ・・・というお声もあります。
確かに、そういった柔軟性がないのは、この制度の利用が一気に広まらない原因の一つかもしれません。
今後制度が変更される可能性もありますが、現状では、成年後見制度は長期間続くものだということをご理解の上、利用を検討していただければよいかと思います。

※本記事は、後見について記載しておりますが、保佐・補助についてもほぼ同様に考えることができます。

では、また次回お楽しみに!

司法書士 たつみ