相続のはなし~樺太の戸籍?~

掲載日:2017.08.04

相続手続において、お亡くなりになった方の戸籍を取り寄せていると、「樺太の戸籍」に出会うことがございます。

樺太は、かつて日本の統治下にありましたので、他の市町村と同じように、そこに暮らす人たちの戸籍も存在していました。
しかし、戦争により、ソ連(ロシア)領となり、その際の混乱により、樺太に存在した多くの戸籍が失われてしまいました。
戸籍の一部は関係者によって持ち出されたのですが、一部しか残されていないことと、管轄する市町村がなくなったことにより、現在では、樺太にあった戸籍は、戸籍としては保管されておりません。
「戸籍としては」と書いたのは、実は、外務省が現在でも残された戸籍を保管しているため、外務省に請求することで、その記録を取得することができるからです。
※旧樺太の戸籍に関する証明
ただし、あくまで戸籍ではなく、「行政文書」という扱いなので、請求手続も戸籍とは異なることに注意しましょう。

なお、残されている戸籍の記録は、
(1)大泊郡知床村
(2)大泊郡富内村
(3)大泊郡遠淵村
(4)敷香郡内路村
(5)敷香郡散江村
(6)元泊郡元泊村
という6村のみとなっております。

上記6村であっても記録が残っていない場合もありますが、保管されていない場合はその旨の書面が発行されることとなっております。

戸籍を取り寄せている中で、「樺太から転籍」などの記載があった場合には、まずは上記6村かどうかを確認した上で、該当する場合は外務省に請求をして取り寄せるということになるでしょう。

旧樺太の戸籍に関する証明の請求手続については、こちらに記載されておりますので、参考にしていただければ幸いです。

では、また次回お楽しみに!

司法書士 たつみ