成年後見のはなし~施設入所に許可が必要?~

掲載日:2017.06.23

まず、後見人は、ご本人の施設入所に関して、ご本人に代わり契約を行います。

そして、施設に入所すること自体には誰かの許可を取る必要はありません。強いて言えば、ご本人の意識がしっかりしている場合に、ご本人の意向を確認するということぐらいです。

ただ、施設入所に伴って、現在住んでいるところが不要になった場合には注意が必要です。
例えば、一人暮らしの方であれば、自宅を売却して施設の入所費用に充てるですとか、賃貸マンションであれば解約する、ということが考えられますね。

実は、「居住用不動産の処分」に家庭裁判所の許可が必要なので、これに該当する場合、後見人と言えど、勝手に行うことはできません。
「居住用の不動産の処分」には、自宅(持ち家)などの売却の他に、賃貸マンションなどの「賃貸契約を解約すること」も含まれます。
「処分」という言葉からつい売却のみを思い浮かべてしまうのですが、実は、賃貸借契約の解除も処分に当たるのです。

施設に入所する際は、施設入所の手続に気を取られてしまい、現在住んでいるところの手続はつい後回しにしがちです。
ただ、家庭裁判所の許可がなければ、原則として居住用不動産の処分は無効になってしまいますので、後からより混乱を招くかもしれません。
そのため、自宅などから施設に移る際は、「家庭裁判所の許可が必要かもしれない」と思っていただければ、うっかり忘れをしなくてよいのではないかと思います。
そんなことを考えて、今回は少し誤解を招く覚悟でタイトルを付けてみました。

※この記事は、法定後見のうち、成年後見についての記述ですが、代理権付の保佐・補助でも同じように考えることができます。

では、また次回お楽しみに!

司法書士 たつみ