相続のはなし~仏壇などは誰が相続する?【祭祀の承継】~
掲載日:2017.04.25
祭祀とは、「神や先祖を祭ること」を言います。
※出典:デジタル大辞泉
相続が発生すると、財産とともに、誰が祭祀に関わるもの(仏壇や墓等)を引き継ぐのか、という問題があります。
相続財産は、民法により相続する方(相続人)が定められているので、普通に考えると、仏壇や墓なども一種の財産ですから、相続人が他の財産と同様に相続することになるように思えます。
しかし、実は、祭祀に関しては特別な条文があり、それにより、相続財産とは別の取り扱いがされています。
※民法第897条第1項:系譜、祭具及び墳墓の所有権は、前条の規定(相続人が財産を相続するとの規定)にかかわらず、慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき者が承継する。ただし、被相続人の指定に従って祖先の祭祀を主宰すべき者があるときは、その者が承継する。
そのため、相続財産とは別に、祭祀を引き継ぐ方を定め、その方が祭祀に関わるもの(仏壇や墓等)を承継するということになります。
なお、祭祀を引き継ぐ方は、相続人であることが要件ではないので、相続放棄をした方であっても祭祀に関わるものを承継することが可能です。
債務があることによって相続放棄をしたとしても、それによって先祖のお墓などを引き継げないというのは納得できるものではないでしょうから、これは合理的な取扱いではないかと思います。
祭祀の承継に関しては、相続財産とは別に、どなたが引き継ぐのか考える必要があるのですね。
では、また次回お楽しみに!
司法書士 たつみ