遺言のはなし~財産の受取拒否?~
掲載日:2017.03.23
遺言は、遺言者が単独で作成するものなので、事前に財産を受け取る相手から承諾を得る必要はありません。
一方、贈与は、譲り渡す人と譲り受ける人両者の合意が必要ですので、遺言とは異なりますね。
遺言が単独行為である性質上、受取人は、「知らない間に財産の受取人に指定されていた」ということが起こります。
預貯金など、管理のしやすいものであれば困らないのですが、遠方の不動産などはどうでしょう。
例えば、北海道で生活する人が沖縄の土地をもらっても、管理が大変ですよね。
そこで、「遺贈の放棄」という方法があります。
ここで注意すべき点は、「特定遺贈」なのか「包括遺贈」なのかによって、放棄の方法が異なるということです。
A土地を遺贈する、などのように、ある財産を指定することを「特定遺贈」、一方「財産の2分の1」などのように、特定の財産ではなく、割合で遺贈することを「包括遺贈」といいます。
特定遺贈の場合、放棄の方法・期限に定めはないのですが、包括遺贈の場合、相続放棄と同様、原則として相続があったことを知った日から3カ月以内に家庭裁判所に申立をしなければなりません。
遺言によって財産の受取人に指定されても、必ず受け取らなければならないわけではないのですね。
遺言者としては少し残念かもしれませんが・・・
そう考えると、遺言の場合も、事前に受取人と相談してから作成した方がよいかもしれませんね。
では、また次回お楽しみに!
司法書士 たつみ