相続のはなし~未成年者の相続放棄~

掲載日:2016.11.25

%e6%9c%aa%e6%88%90%e5%b9%b4%e8%80%85%e3%81%ae%e7%9b%b8%e7%b6%9a%e6%94%be%e6%a3%84相続放棄は、原則として、相続人それぞれが個別に手続を執ることができます。
しかし、相続人の中に未成年のお子さんがいらっしゃる場合、未成年の子に代わって、親権者(父母)が手続を行わなければなりません。
と、ここまではよいのですが、実際の相続放棄の場面では問題が出てくることがあります。

それは、未成年者の親権者(父母)も同時に相続人である場合です。

例えば、太郎さんが亡くなった場合、令子さんと小太郎くんが相続人ですね(図参照)。
小太郎くんの相続放棄は、令子さんが手続を行わなければならないはずですが、実は、この場合、令子さんは手続をすることができません。

理由は、親権者と未成年の子がお互い相続人同士である場合、手続を代理することが禁止されるから、です。
これは、相続放棄の効果を考えるとわかりやすいかと思います。
相続放棄をすると、その人は相続人ではなくなります。つまり、令子さんが自分の利益を考えて、小太郎くんに相続放棄をさせれば、令子さんの相続分が増えるのです。
このように、相手の損失によって自分に利益が生じる関係(利益相反)なので、代わりに手続を行うのは適切ではない、とされているのです。
この場合は、親権者の代わりに、「特別代理人」という人を家庭裁判所で選んでもらい、小太郎くんに代わって手続をしてもらうことになります。

なお、親権者と未成年のお子さんが同時に相続放棄をする場合は、お子さんを代理することができることになっています。
少しわかりにくいので、詳しい解説は避けますが、とにかく、未成年のお子さんがいる場合の相続放棄は注意が必要ということですね。

では、また次回お楽しみに!

司法書士 たつみ