マニアック法律知識~原本?正本?謄本?~
掲載日:2016.11.08
公的な機関で書類を取得する際などに、「原本」や「正本」「謄本」という言葉を耳にすることがないでしょうか。
ただ、日常ではこのような言い方をしないので、ピンとこない方も少なくないかと思います。
原本と正本・謄本は、効果が似ているのですが、実は少し意味が異なります。
公正証書で遺言を作成した場合を例にしてみましょう。
公証役場で遺言を作る際、まずは「原本」が作成されます。この原本が、オリジナルの遺言ということで、公証役場に保管されます。
そして、次に作成されるのが「正本」と「謄本」です。どちらも、原本と同じ内容を記載した正式な写しであるということでは共通するのですが、正本は、原本と同じ効力を持つのに対し、謄本には、そのような効力はありません。
正本には原本と同じ効力があるので、公証役場は、遺言作成者に対し、原本そのものは渡さずに、正本(と謄本)だけ渡せば十分、ということになります。
まとめると、
原本=最初に作成した文書そのもの
正本=原本と同じ内容・効力を持った原本の写し
謄本=原本と同じ内容であることを権限ある者が証明した原本の写し
という感じです。
なお、万が一公正証書遺言の正本や謄本を紛失しても、原本がある限りは、謄本を再発行してもらうことが可能です。
では、また次回お楽しみ!
司法書士 たつみ
【「解説!相続のいろは」まであと3日】