相続のはなし~葬儀費用~

掲載日:2016.04.22

4f13a6ce6fc364b8391839f6bcaa1ab0_s相続の際によく聞くのが、「葬儀費用は誰が負担するのか」という疑問です。

実は、法律上、「誰が葬儀を行い」「誰がその費用を負担するのか」という明確な基準がありません。

当然ですが、ご本人は亡くなっているので、自分で葬儀を手配することはできませんね。
そのため、喪主の方が葬儀を執り行うのが一般的ですが、普通に考えると、喪主の方には依頼者として葬儀費用の支払い義務が生じます。

しかし、葬儀は、慣習上喪主が執り行うことが多いとしても、実際にはご本人のためのものであり、相続人もそのことを承知しています。
そうすると、喪主だけが費用を負担するのは不公平とも考えられます。
そこで、葬儀費用は、相続財産(ご本人の財産)から支払うことも認められるのではないか、という意見もあります。

前者の考え方ですと、①喪主の方が葬儀費用を支払った上で、遺産分割の際に喪主の方の取り分を多くする。
後者の考え方ですと、②相続財産から葬儀費用を支払い、残額を遺産分割する。
という方法で相続人間の公平を図ることになるでしょうか。

結局、現時点では「これが正解だ」というものが定まっていませんので、その時々で一番適切と思われる方法で処理しているのが現実です。

いずれにしても、大切なのは「どのように処理すれば相続トラブルにならないか」ということです。

生前に葬儀の話をするのは気分が良くないかもしれませんが、このような実情を考えると、一度皆さんで相談されることをお勧めしたいですね。

では、また次回お楽しみに!

司法書士 たつみ