相続のはなし②~不動産の相続・その弐~
掲載日:2015.12.04
不動産の所有者が亡くなった場合、実際に不動産をどのように相続(名義変更)するか、という問題もあります。
例えば、図のような場合、花子さん・太郎さん・次郎さん、の3人が相続人ですね。
基本的に、花子さん【4分の2】、太郎さん【4分の1】、次郎さん【4分の1】という割合で相続する権利があります(法定相続分)。
しかし、果たしてこの通りに相続してよいものでしょうか?
例えば、太郎さんが不動産を処分してお金に換えたいと思った場合にどうなるか考えてみましょう。
法定相続分通りに名義変更すると、太郎さんは4分の1の名義しか持っていませんから、当然売却できるのも4分の1の権利だけです。
不動産の4分の1だけの権利を欲しがる人がいるでしょうか?
現実的にはまずいないと思います。そうすると、結局太郎さんは不動産を処分してお金に換えることができませんよね。
逆に、太郎さんだけが不動産を売却したくないと思っていたとするとどうなるでしょう?
権利の4分の3だけ購入してくれる人がいるでしょうか?
4分の1の場合よりも可能性はありますが、それでもあまり現実的ではありません。
このような状態になることを避けるために、遺産分割協議を行い、不動産は相続人のうち一名の名義にするということが多いのです。
不動産はそれを必要としている相続人の名義にし、その他の相続人は預貯金などを受け取ることで公平を図る、という方法ですね。
法律で定められた相続する割合(法定相続分)は、必ずしも「この通りに相続しなければならない」というものではありません。
また、今回のように、権利の割合に従って分けることで反って不便な結果を招くこともありますので、あまりこの割合にとらわれず、より現実的な財産の分け方を考えましょう!