相談事例①~過去の借金の請求~
掲載日:2015.10.13
さて、このシリーズでは、実際にあった相談事例をご紹介していきたいと思います。
(個人情報の関係もありますので、あくまで実例を基にしたフィクションです。)
今回は、突然昔の借金の請求を受けたというケース。
ある日、相談者太郎さんのところに封筒が届き、中には株式会社ビッグマネーという会社からの請求書が入っていました。
太郎さんはこの会社のことは知らず、何のことだかわからなかったのですが、よく見てみると請求書には「株式会社ライフルから債権譲渡を受けた」と書いてあります。
この株式会社ライフルは、以前に太郎さんが借り入れをしたことがある会社でした。
詳しく話を伺うと、どうやら借り入れは完済していなかったようですが、10年近くも請求が来ないので忘れてしまっていたようです。
さて、ここで登場するのが「時効」です。
相手が消費者金融などの貸金業者である場合、商法522条により、通常より短い5年で、債権は時効によって消滅します。
業者はそのことを知らないのか?いえ、実はわかっています。わかった上で請求しているのです。
理由は、「債務の承認」といって、時効で消滅した債務であっても、債務者がその存在を認めることによって債務が復活してしまうのです!!
そのため、ビッグマネーは、すでに時効に掛かってしまい、ライフルが回収を諦めた債権を譲り受け、ダメ元で請求をしているのでした。
そして、時効のことを知らない太郎さんが「確かにお金を借りています」と認めるのを狙っているのです。
請求する側が悪いことをしているとは言えませんが、債務者の知識不足に付け込んだやり方には少し違和感を覚えますね。
しかし、実際にこのような相談を受けることが少なくありません。
よくわからない請求が来た場合、相手に連絡する前に司法書士もしくは弁護士にご相談いただいた方が安心かと思います。