遺言のはなし~相続人(受取人)が先に亡くなるとどうなる?~

掲載日:2018.01.16


遺言で指定した財産の相続人(受取人)が、遺言者(遺言を作成した方)よりも先に亡くなってしまう、ということがあります。

今回は、遺言者である太郎さんが、「相続人律子にすべて相続させる」という内容の遺言を作成した場合を例に見てみましょう。

律子さんが太郎さんより先に亡くなってしまうと、太郎さんが亡くなった際、遺言で指定された財産の受取人が存在しないことになります。
では、この場合、律子さんが受け取れるはずだった財産は誰のものになるのでしょう?

考え方としては2つありますね。
①受取人の相続人が受け取る=律子さんの子である一男くんのもの
②遺言は無効で本来の相続人が受け取る=太郎さんの子である小太郎くんのもの

どちらだと思われましたか?
・・・正解は、②です。
つまり、遺言で指定した財産の受取人が遺言者より先に亡くなった場合、その遺言は効力生じず、法律上の相続人(今回の例では小太郎くん)が財産を受け取る(相続する)ということになります。

なお、厳密には、「遺贈させる」(主に相続人以外に財産を遺す場合)と「相続させる」(相続人に財産を遺す場合)という文言によって考え方が異なるのですが、結論としては、どちらの場合も遺言は効力を生じない、ということになります。

※遺贈させる⇒参照:民法第994条
※相続させる⇒参照:最判平成23年2月22日

なお、このような場合に備えて、「律子が遺言者(太郎さん)よりも先に亡くなった場合は、一男に相続させる(遺贈する)」という内容の遺言を作成することもできますので、心配であれば、予備的に受取人を指定するという方法を検討してみるとよいのではないでしょうか。

では、また次回お楽しみに!

司法書士 たつみ