相続のはなし~債権者からの通知が来た場合~

掲載日:2017.11.06


お亡くなりになった方(被相続人)に債務があった場合、債権者から相続人宛てに、支払い請求などの通知が届くことがあります。

この際、慌てて連絡を取ることは控えた方がよいでしょう。

なぜなら、債務があることを知って、それを支払うと、場合によっては相続放棄をすることができなくなってしまうからです。
相続財産の処分をすると、相続放棄をすることができない(単純承認)とされているので、もし、相続財産を債務の支払いに充ててしまった場合、この「相続財産の処分」にあたり、相続放棄をすることができなくなってしまう可能性があるのです。

なお、相続財産からではなく自己の財産から債務の支払いをした場合、それ自体は単純承認にはならないとされていますが、別な問題があります。
相続放棄をせず、相続人が相続する場合、債務は支払う必要があります。
しかし、債権者から請求があっても、実は時効によって支払う義務がない債務の可能性もあるのです。
この場合に、自己の財産から債務の支払いをしたり、または債務の存在を認めたりすると、「債務の承認」にあたり、時効によって支払い義務がなくなっていた債務が、再び復活してしまうことになります。

このように、債務の支払いなどをすることで、相続手続にも影響することがありますので、債権者からの通知には不用意に反応せず、専門家に相談してから対応することをお勧めいたします。

では、また次回お楽しみに!

司法書士 たつみ