成年後見のはなし~医療行為の同意?~

掲載日:2017.08.30

通常、ケガなどの治療のために手術を行う場合、ご本人の同意(承諾)が必要とされています。
※身体に対する医療行為を行うことの同意(承諾)を「医療同意権」とも言います。

問題は、成年後見制度を利用されている方(以下、「ご本人」と言います)は判断能力が十分ではなく、ご自身で同意(承諾)する意思を伝えられないことがある、ということです。

では、成年後見人等が医療行為について同意(承諾)することができるのでしょうか。
結論としては、現時点では法律上の根拠がないため、成年後見人等は、ご本人が手術等の医療行為を受ける際、代わりにその同意(承諾)をすることはできません。

実務的には、ご本人の同意(承諾)が得られない場合でも、ご親族の方の同意(承諾)が得られれば医療行為を行っていることが多いようです。
そのため、ご本人のために手術などの医療行為が必要な場合、まずはご親族の同意(承諾)を得られるようお願いしていくことになるかと思います。
ただ、ご親族の同意(承諾)も、法律上の根拠があるわけではないので、慣習上そのように扱われているに過ぎず、法的には誰が同意すべきなのかはっきりしないのが現状です。
そのため、医療行為の同意(承諾)については、現在進行形で議論されているテーマであり、近い将来明確なルールが作られるかもしれませんので、期待したいですね。

では、また次回お楽しみに!

司法書士 たつみ