遺言のはなし~字が書けなくても作成できる?~

掲載日:2017.07.28

遺言を作成したいと考える方の中には、手が不自由で字が書けないという方もいらっしゃいます。
しかし、「字が書けなければ遺言は作成できないのではないか?」という疑問もあるかと思いますので、今回はそのことについて触れてみたいと思います。

まず、自筆証書遺言では、遺言の内容を全て自筆する必要がありますので、この方法で作成するのは困難です。
※例外的に、同席者が添え手をして作成された自筆証書遺言を有効と解した判例(最判昭和62年10月8日)もありますが、通常は認められないと考えた方がよいでしょう。

一方、公正証書で作成する場合はどうでしょう。
公正証書の場合、自筆証書のように全文を自書する必要はありませんが、作成者は、公正証書の原本に署名捺印をしなければなりません。
結局公正証書でも作成できないのか・・・というになりそうですが、実はそうではありません。
公正証書の場合、字が書けない方のことも想定されており、「自書することができない場合は、公証人が事由を付記することで署名に代えることができる。」とされています(民法第969条第2項)。
つまり、字が書けない方の場合、自筆証書では遺言を作成することができないが、公正証書であれば作成が可能、ということです。

「字が書けないから遺言は作れない」と考えている方がいらっしゃいましたら、公正証書での作成を検討されるとよいのではないでしょうか。

では、また次回お楽しみに!

司法書士 たつみ