マニアック法律知識~連帯債務とは?~

掲載日:2017.08.02

連帯債務とは、文字通り、複数の方が連帯して債務を負う、というものです。

例えば、AさんとBさんが共同で事業を行うために、連帯債務者として銀行から100万円を借り入れる、というような場合ですね。

注意したいのは、連帯債務者が、それぞれ「借り入れ額の全額を返済する義務を負っている」ということです。
AさんBさん2人で100万円を借りているのだから、それぞれ50万円ずつ返せばよいのでは?と考えがちですが、連帯債務の場合はそうではなく、それぞれ100万円ずつの返済義務を負っているということです。

連帯債務は、①債権者⇔債務者と②債務者⇔債務者という2つの関係があるのが特徴です。
債権者(上記の例では銀行)は、どの連帯債務者からいくら返してもらうか、という配分は自由に決めることができ、その上限が債権額(上記の例では100万円)となります。
つまり、Aさんから100万円を返してもらってもよいし、Aさん50万円、Bさん50万円という返済を受けてもよいわけです。
逆に、100万円の請求を受けたAさんは、50万円しか払わない、とは言えません。これが①債権者と債務者の関係です。

一方、仮にAさんが100万円支払った場合、債権者(上記の例では銀行)はすべての債権を回収したことになるので、Bさんに請求することはできません。
そうすると、Bさんだけ債務を免れたことになってしまいます。
そこで、連帯債務者間の調整が必要となります。これが②債務者と債務者の関係です。
連帯債務者同士の関係では、人数で等分した債務額が、各債務者の「負担割合」となります。
上記の例では、100万円÷2人で、Aさん50万円、Bさん50万円という負担割合です。
そうすると、Aさんが100万円支払った場合は、Aさんは自分の負担割合を超えて支払っていることになるので、その超えた分(50万円)は、他の連帯債務者(Bさん)に請求することができます。
この権利を「求償権」と言います。(求償権について詳しくはまた別の機会に記載します。)

このように、連帯債務者は、対債権者では全額の債務を負担しているものの、連帯債務者間では、人数に応じた債務額のみ負担するという2つの関係を持っています。
なかなかむずかしいですね。
ただ、連帯債務は、実務でも多く利用されていますので、知っておくと便利かもしれませんよ!

では、また次回お楽しみに!

司法書士 たつみ